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2019年10月4日金曜日

木造平行弦トラス ハリーさん クリープ試験


木造トラスのクリープ試験やってます!
(2019年10月時点 2年経過 継続実験中!!)

平成25年度より岐阜県木連が中心となり、岐阜県産材ヒノキを使用した木造平行弦トラス(通称ハリーさん)の開発を行ってきました(WOOD ACはコンサル・実験の実施)。開発に伴い各種試験を行っているのですが、今回はそのうちのクリープ試験について紹介させて頂きます。



















クリープ試験の目的は、「梁の変形増大係数を求める」ということになります。
⇒つまり、「建ててから50年後にどれくらい梁がたわむかを予測するための計算式の数値を求める」
というロマンあふれる実験を行っています。

屋根や床を支えている梁は、ずーーーーっと重りが常に乗っている状態なので 
建てた直後よりも年月が経つとだんだんとたわみが大きくなっていく
という現象が生じます。
これを「クリープ」というのですが、そのクリープがどれくらい生じるか、一般的な製材や集成材の梁では単純式で予測することができます。
一般的な公称値として
■一般的な木造の梁材:×2.43(平成12年建設省告示1459号においては×2.0
■屋根木造トラス梁 :×5.0(JIS A 3301木造校舎の構造設計標準)
となっており、
【例題】
告示式の<×2.0>を例に挙げると
梁のたわみ計算して、建てたときに5cmたわむ計算結果だと、およそ50年後には、、5cm×2.0=10cmたわむであろう
という計算になります。


一般的な梁は一本部材なので木材自身の性質からこの係数が割り出されいるわけで多くの設計者はこの理論式を元に梁の設計をするわけですが、
トラスとなると話は別です。
トラスには上弦材、下弦材、束、斜材と部材を何か所も組み合わせて一つの”梁”としているため、部材のたわみだけでなく、「接合部分のガタ」や「木材同士のめり込み」、「接合金物の変形」などなど、ちょっとずつちょっとずつ一つ一つが動く要素があるため、トラス梁全体が大きくたわむ結果となってしまいます。このため解析などの理論式だけでは正しい予測が難しいとされています。



と、いうわけで本当に理論式と同じ結果になるのか!?はたまたとんでもないたわみが生じてしまうのか!?
実際に重りを載せてじっくりじーーーーーっくり時間をかけて見てみようということで、
仕様・スパン・荷重を設定した上で、定期的に変位を観測し、どれだけ梁のたわみが増加しているか(クリープが進行しているか)をみています。それを踏まえて、荷重が作用している日数と荷重の相関から、変形増大係数を算出しています。

















単純にたわみをみるためには、トラス梁の端部と一番たわむ中央の変位をとればよいのですが、研究者としてはなぜそうなったのか、何が原因だったのかを考察する必要があるのでより多くのデータを収集しなければなりません。
具体的には、トラス梁のどの部分で変形が大きく生じたのか温湿度は変形に影響を及ぼさなかったか木材自体の変形はどの程度か、考えられる変形要因は多々あります。
そのため、写真のように多くの変位計、ひずみゲージを設置しています。


木造トラス梁のクリープ試験は既往研究で少なからず行われていますが、これだけ大規模・長期間なものは珍しく、研究という意味でも有用であると考えます。

WOOD AC 坂田



※2019年10月現在、26か月(2年突破!)継続実験中!!
※ハリーさんについてのお問合せ先
 岐阜県木材協同組合連合会(TEL:058-271-9941/E-mail:info@gifu-mokuzai.jp)


2019年10月3日木曜日

SHATiS 10日目(ポルトガル~ドイツ)

10日目、11日目です。

この日もフランクフルトです。
街中を少し歩きます。

ドイツの昔の住宅
屋根形状はマンサードのようなものが多く、
切妻のものはみなかったです

















街中の工事現場付近
新築のビルをみると、とにかく柱が細いものが多いです。




























■シュテーデル美術館
中の展示は写真が撮れなかったので、外観の写真をあげておきます。





































室内の色使いが結構激しいのですが、驚くほど違和感がなかったです。
ドイツは空がどんよりしていることが多く、日本の太平洋側みたいに太陽がテカテカすることが少ない環境だと、かえってそのような色使いをするくらいのほうがよいのかもしれません。



昨日訪れた日本食レストランがあまりに美味しく、2日連続で行ってしまいました。



















醤油ラーメンを頂きました。
後半はヨーロッパの食事に飽きが来てしまいました。

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そして最終日、フランクフルトから中部国際空港へ戻ります。
行きほどは苦しみませんでした。
帰りはリアルタイムでどこを通っているのかみていたのですが、名古屋市の上空を通過してから4分くらいでもうセントレアに着陸していました。
とんでもない乗り物ですね。頭痛になるわけです。



WOOD AC 坂田

2019年10月2日水曜日

SHATiS 9日目(ポルトガル~ドイツ)

9日目になります。

この日はフランクフルト市街をみてまわります。

■Shopping Center My Zeil

フランクフルト中心部のショッピングモール。
なんでもありな感のある形状です。ここまで出来てしまうのか、と改めて実感。
ただ、個人的にはあまり感動しないです。








































■Hungendubel (本屋さん)

吹抜けまわりに本が並べてある様はなかなか良いです。
防火の観点から、日本では実現しにくい空間かと思います。

建築関係のコーナーへ行くと、日本の建築も結構取り上げられています。
(安藤忠雄さんとか石上純也さんとか)




























■クラインマルクハトレ市場

フランクフルトの台所といえばよいでしょうか。
特にチーズとパンとハムは、日本であまりみないものが多いです。
























だんだん日本食が恋しくなってきた私たちは、夕食は日本食レストランへ。
お店に入った際に、「いらっしゃいませ」と言われたのが嬉しかったです。




















久しぶりの白米。醤油。
慣れ親しんだ味が結局よいですね、という話になりました。





WOOD AC 坂田

2019年10月1日火曜日

SHATiS 8日目(ポルトガル~ドイツ)

8日目になります。

まずは改めてドイツに関してです。
















面積:357,578k㎡
人口:83,000,000人(参考:東京都 13,857,443人 平成31年1月1日現在 東京都ホームページより)
日本からの距離:9,043km(googleより)
※特記なきはwikipediaより
























今回訪れたフランクフルトは、南ドイツのフランス寄りになります。
正式名称はフランクフルト・アム・マインといい、欧州中央銀行もあるヨーロッパの金融都市です。



フランクフルトの駅
だいぶ立派

近代的なビル群もあるかと思えば・・・。












































メルヘンな街も・・・。

街はマイン川のほとりにあります。






















































これだけ内陸部に位置しておきながら、周りを見渡しても全く山が見当たらないのが驚きでした。
山が見えない平野といえば、日本では関東平野くらいしかないのでは・・・。
内陸部ではおそらくそんな場所はないと思います。



小原教授がふと足を止めた、街中で気になった建物を一つ。






























よくみると5階建て。
しかも1階柱は木。
持つものなんだね、と2人で感心しきりでした。




WOOD AC 坂田

SHATiS 7日目(ポルトガル~ドイツ)

7日目です。

この日はポルトガルを出国して、ドイツに向かいます。

7日目:9/29(日)
12:15(現地時間)ポルト(ポルトガル)発
15:55(現地時間)フランクフルト着(ドイツ)着

ポルトの空港
1日目と同じ場所
アーチが綺麗だったから写真を撮ったのですね
















ポルトの空港の大屋根















空港では、搭乗した便の荷物が出てこないトラブルが・・・。
地下鉄も止まる。
そして自分は帽子を紛失・・・。




















夕食のケバブ
フランクフルトはアジア系の人が多いです。
































無事フランクフルトに到着しました。
明日からはフランクフルトの視察になります。


WOOD AC 坂田

SHATiS 6日目(ポルトガル~ドイツ)

6日目です。

SHATiS内でユーロコードの話があったので、そちらについて少しまとめます。

■THE REVISION OF THE TIMBER CHAPTER OF THE EUROCODE 8


スピーチの様子
堂々とした発表がうらやましい
発表者の主人公感が眩しい






































理想形でいえば、ヒアリングしながら内容が理解できるとベストなのですが、、、
その場での理解が追い付かないので、あとで梗概を読み込みながらまとめています。

4日目のブログの、ユーロコードの説明も外れているわけではないですが、改めてもう少し詳しく。

ユーロコード整備の目的は、
・EUの建設産業の国際競争力の向上
・公共調達での技術仕様を決定する手段
になります。
国際的な経済的地位向上を狙うという、EUが生まれたコンセプトそのものと合致していますね。

ちなみにユーロコード8は耐震設計に関する規定ですが、ユーロコード自体は、
ユーロコード、ユーロコード1、ユーロコード2、・・・、ユーロコード9
まであります。全てconstructionに関わる内容ですね。

また、安全係数などの規定に関しては、振れ幅が各国に委ねられているとのことです。
短期的に生じる外力は国ごとに違うことから、多少の冗長性はあるみたいです。

私自身も学会に参加しながらの追っかけでの理解となってしまっているので、解釈にずれ等があればご指摘頂けると幸いです。
ただ、大きくは理解は間違えていないはずです。

参照資料
http://www.pwrc.or.jp/thesis_shouroku/thesis_pdf/1009-P022-025_matsui.pdf

さてユーロコード8に関する今回の発表です。

建築学会論文大会2日目にも、『木質構造設計基準の改定の方向性について』というパネルディスカッションがあったのですが(http://wood-ac.blogspot.com/2019/09/in-20192.html)、今回のこの発表はそれのユーロコード8版であると考えればよいと思います。























仕様規定的な部分の改定の話は、パワーポイント中の図をみて理解できる(というよりも想像がつく)話ではありましたが、設計法内の係数の話になってくると、恥ずかしながらどこのことを言っているのかさっぱりでした。
英語だったのが、理解を難しくしたと思いたいところです・・・。

構造設計に携わる側なので、与えられた係数を間違いなく使うことが第一ステップですが、その次のステップとして、与えられた係数が適切であるかどうかを見極める必要があります。

数字が決まった経緯、背景となる式もしっかり押さえていきたいところです。

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夕方からは小原教授の発表でした。

■Development of Visco-Elastic Damper for Retrofitting in the Timber Building

小原教授による、住友理工株式会社の受託研究により生まれた制震ダンパーについての発表でした。
木造建築物の改修時に、床・天井を壊さずに施工できる点から、改修コストを抑えることが見込まれる点を強調されていました。
















WOOD AC 坂田