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2016年6月3日金曜日

構造「へぇ~」シリーズ③ ~積雪を見込んだ壁量の計算~




構造「へぇ~」シリーズ第3弾




回目では地域によって耐力壁の必要枚数が変わるというルールがあることを紹介しましたが今回は、46条の壁量計算で検討不要なルール 
「雪を見込んだ壁計算」     について紹介します。


日本は南北に伸びた島国であり、山地が国土の70%とも言われており、それに影響して地域ごとの気象も大きく変わってきます。

現在の壁量計算では、屋根の重さによって必要な耐力壁の数を変えている計算式にはなっていますが、屋根の上に載る雪の重さまでは考慮されていません。
一般地域であれば雪は数日で溶けてしまうのでよいかもしれませんが、多雪地域では溶ける前に次の雪が降り、、、を繰り返し、締め固められた雪が冬の長い間屋根に載ったままの状態が続きます。このときに地震が起きたら。。。 屋根の重さによって必要な耐力壁の枚数を変えていることから想像しても、重たい雪が屋根に載っているのであればその分地震には不利に働くことが想像できます。

具体的に1㎡あたりの雪の重さを計算してみると
100cm×3kg/cm/m2300kg/m2
・・・大分、いやかなりの重となります。
 
これを46条の壁量計算に加えてみると、条件にもよりますがなんと最大×2.3倍も壁の量が追加で必要になります。

 “性能表示計算”や、既存物件の耐震改修の計算に用いられる“建防協一般診断”で雪の重さを考慮する計算を取り入れるようになりましたが、なぜか古い建築基準法はそのまま、というのが現状です。新築の建物を既存物件用の耐震改修の計算をしたら
あれ?新築で法律守って建てた建物が「倒壊する可能性がある」という結果になっちゃった。。。なんてことも無い話ではないですね。




いかがでしたでしょうか。
 何「へぇ~」いただけましたでしょうか。
普段から雪の多い地域で暮らしている方は感覚的なものがあるかもしれませんが、県外のお仕事で雪の多い地域の設計をされる方などは特にお気をつけください。
 耐力壁の配置には余裕をみた設計をするのがよいかと思いますのでご参考までに。
(田畑)